“ちょっと”が具体的にどれくらいか汲み取れなかったから。


葉月くんの匙加減を読み取れるほど、まだまだ深い付き合いではなかったから。



理由なんてどうだっていいので、時間の目安を聞くために文字を送り届けるようボタンを押した。



待ち合わせ場所の、駅の出入り口付近。

柱にもたれかかるようにしてスマホを握りしめて、もう30分、いや1時間は経っただろうか。



行き交う人の波が3分に1回ほど、ざばんと押し寄せる。あたりはすっかり真っ暗だけれど、駅前の街灯が我こそはと輝くから、星の眩さは身を潜めている。