穏やかさに真剣なひかりが強く加わって、これが冗談でも嘘でもないとしっかりわかる。
これまで、合鍵を返し合うのはどちらかに恋人ができたとき。さみしい気持ちを伴っていたこの儀式。こんな形で合鍵を返すことができるなんて、うれしさでぽわぽわ飛んでいけそう。
返事はひとつに決まってる。
「もちろん、喜んで。こちらこそよろしくお願いします……!」
言葉にすると、涙がじんわり浮かんでしまう。「泣かないで」と心配そうに覗き込まれるから「うれしくて、だからいいの」と笑ってみせた。
直となら、これからどんなに喧嘩をしようがどんな苦労があろうが、最後はきっと笑顔と嬉し涙であふれているに違いない。



