「年末年始、実家帰ったとき、合鍵返すね。俺のももらう」
「え?」
突拍子もない話に、すぐには理解が追いつかなかった。もう一度、顔を上げて表情を確認してみるけどいつも通り穏やかなだけだった。
こうして正式に付き合うことになったのだから、返す必要なんてないのに。
「元々おばさんから言われてた話だし。このタイミングのほうがいいかなって」
「いや、ちょっと待って。全然、返さなくていいし、わたしも返すつもりないし、」
「栞と帰る家、一緒にしたいなって思ってるんだけど、どうかな」
「……え」
「合鍵じゃなくて、同じ鍵を持ち合いたい」



