隣を歩く直を見上げれば、温かく細めた眼差しとぶつかった。ずっとこうしてわたしを見ていたのだろうか。
この瞳にとらえられると、なにもかもどーでもよくなる。赤が灯って立ち止まれば、わたしもきみのこと見放題だ。
小さいころからずっと一緒にいたくせに、こうして何も言わずに見つめ合うこともしばしばある。
ずっとだいすきで、叶わないと諦めていたひとが今は恋人なんだと実感できるのが幸せだから、ついじっと見つめてしまう。
直はどうしてわたしを見つめているのかわからないけれど、同じだったらいいな、なんて。
目の前の三色が青のような緑色に変わる。進めを示す色に、わたしたちは再び足を動かして、そのタイミングで低く柔らかな声が降ってきた。



