| | | | 𖦞 | | 「──栞」 大学へ向かうまでの数十分だって、必ず手を繋ぐ。「俺の手がつめたいの、栞にあっためてもらうためかも」なんて軽口を叩きながら、うれしそうにわたしの手を取る。 手を繋げば嫌でも歩幅は同じくらいになるから、この時間を長引かせたいわたしはいつもの0.75倍で歩いてみたりする。 「わたしの手はカイロじゃないんだよ?」 「俺専用にしといてね」 「そーじゃなくて」