低温を綴じて、なおさないで




直の手が、知ってると言わんばかりにわたしのよわいところ全部攻め立ててくらくらと何も考えられなくなっていく。中心のほうから鳴ってしまう水音が思考を奪う。



甘ったるくてやさしいけれど、直がわたしのためにくれた2回と比べると全然違って。直の欲がストレートにぶつけられている気がした。直にこんなふうに求められたこと、なかった。



降ってくるキスは相変わらず容赦がなくて、くるしくて、呼吸がままならない。ぼやける思考と視界、真っ白が弾けてふわふわしていた。



前よりも強引で、わたしのペースに合わせてくれなくて、限界はとうの昔に超えていたのに、ずっとずっと甘やかされた。


我慢していたものをすべて吐き出すかのように、わたしの全部が直に溶かされた。もともと知り尽くされていたのに、もう、すこしも残ってなんかなかった。




「ね、なお…っ…も、むり、」


「ごめん、俺だって無理。もう止まんない」




激しくてやさしくて、あまくてにがい。


きみが、愛おしくてしかたない。やさしいきみが、こんなふうにすべてをぶつけるの、わたしだけにしてよ。