低温を綴じて、なおさないで




「俺はただの幼なじみに合鍵を渡さないし、栞だから渡したんだよ」


「う、ん、」


「それでも、ただの幼なじみじゃなきゃ近くにいられないから幼なじみのふりをしてただけ」


「……今日、ほんとは合鍵返すために呼び出したの」


「返さなくていい。俺も返さないし、むしろもう一緒に住みたいって思ってる」




スウェットがたくし上げられて、おなかにキスが落ちる。わたしを確かめるようにいくつも落とされるそれに、わたしの中心がぎゅっと疼く。




わたしがいいって、わたしを自分のものにしたいと、そんな自分本位な欲を直が映すこと、なかったから。



一方的に直に壊してほしかった過去の2回と違って、直が自分の意思でわたしを抱きしめているのが信じられなくて、うれしくて、夢かと思った。