低温を綴じて、なおさないで





「べつにいいじゃん。なんか栞ちゃん、あんまり抵抗ありそうに見えないから、そういうの」


「……そんなに軽く見えてるんですか」


「いや?ガードはかたいけど、隙があるんだよ」


「そんなことな、」


「ある。いいでしょ?大学生なんだし、キスまではしたんだし。ほんとにだめ?」




ぐっと、腕を掴まれる。力が強くて、手首から痛みが広がっていく。だめ?なんて疑問系のくせに、ちっとも遠慮がない。


こちらに投げかけているふりをして、全くわたしの気持ちを尊重しようとしない身勝手さ。いやだ、絶対に、嫌。欲しか映さない双眸が、だいきらいだ。




「離して……っ!」


「ほら、観念しなよ」