ぎゅっと込める力が強くなって、直の胸に埋まった。寝ぼけていなくても、なにも気にすることなくこうやって触れ合うことができたらいいのになって叶わない想いを抱いた。
寝ぼけているだけで、たぶん、彼女と間違えているだけ。同じ制服、同じ髪型の、彼女と。
この状況であやうい質問を投げたのはわたしだから、いいの。なのに、虚しくてたまらなくなった。
きみが彼女にする女の子に、もしも条件があるのなら。
当てはまっているのに彼女になれない事実がくるしいから、もう、やめる。自ら、きみの好きな条件から離れた。そのときから髪を伸ばしはじめて、短くするのをやめた。
それに直は長く彼女と続かない。直の彼女になったら必ず終わりがきてしまう。
それならば。
幼なじみとして隣にいつづけられるなら、それでいい。ずっと、そう思い続けてきた。
──すきだよ、なお
ずっと きみだけ



