低温を綴じて、なおさないで




ほぼほぼ活動のない弓道部、それでいて室内にいることが多いからか、羨ましくなるほどの白い肌。まっすぐ降りた長いまつげも女子の憧れそのもの。すっと通った鼻筋、薄い唇。


神様がこんなにも良いパーツを良い配置にしたのは、彼が前世で村でも救ったからだろうか。現世でわたしを救う役目があるから、あらかじめの対価だろうか。それくらい整っていて羨ましい。



……羨ましいけれど、そのせいで女の子から人気を集め続けているからその点では複雑だ。




「起きて、直?」




声をかけても、起きる気配がない。わたしとは違って余計な肉のついていないほっぺをつん、と刺してみても全然気がつかない。


なかなか見られない直の寝顔、できることならずっと見ていたいけれどそうしたらわたしまで遅刻してしまうので、しかたなく彼の肩を揺らす。


さわさわと起こそうとすれば、緩やかに直のまぶたが持ち上がる。「なお、おはよ」ともう一度声をかけたら、ぱちりと瞳が開き切ることはなく、代わりにすこし身体を起こして。




「っ! な、なおっ、」