低温を綴じて、なおさないで




こんなにも、取られたくないって思って独占欲に支配されて、わたしだけにやさしくしてほしいと思ってしまうのか。


奥底に眠る想いを起こさないように自覚しないように目を逸らし続けてた。わたしがきみに抱く想いはただの“幼なじみ”なんかじゃないと、わかっている。



けれど、“幼なじみ”じゃないと隣にいられない。二度もその距離を壊したわたしを直はやさしく許してくれているから。




伝えたら、直はきっと眉を下げて困ったように笑う。関わることすらできなくなってしまうから“幼なじみ”でいいの。ずっとずっと、そうしてきた。閉じ込めてきた。低温を綴じて仕舞ったように、また、想いも綴じておくから。




わたし、決めた。直とは距離を置く。


……幼なじみ、こんな関係、厄介だ。



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