「待ってください」 「……」 「栞せんぱい、ずっと邪魔なんですよね」 待って、と物理的に動きを止める声と、邪魔、という精神的にわたしを立ち止める言葉が同時に投げ込まれた。 前に出した右足が止まる。図書館だからと抑えられていた声が通常モードになって、空間に響きわたった。ちらほらいた周りの生徒の視線が、わたしたちへ移るのを感じる。 「だから、さっさと消えてくれません?」