なぜ目に入ったか。その子──黒髪ショートボブの似合う可愛らしい女の子が、わたしから目を離さずわたしだけをじっと見つめていたから。



視線を感じて意識を向ければ、ふわふわとした花吹雪舞うようなオーラを漂わせてわたしに微笑みかけて、近づいてきた。



……この子、どこかで見たような気がする。


いつだっけか、最近も見たような気がするし、昔から知っているような気もして、明確ではないけれど。確かにわたしの脳内メモリに存在している気がして。



立ち止まるわたしと、目の前で止まったその子。首を斜めにして、目を線にしてしまう笑いかたがほんとうにかわいらしくて華やかで、見覚えがあるのはアイドルか何かをやっているからか、とまで思った。なんてことない図書館が、どこかのステージにすら見えた。



わたしよりも5センチくらい低い彼女が見上げるようにして、潤った唇を動かす。