だから、傷つけようとしたの。

デートをするんだって、乙女のふりしてかわいく嘘をついた。大学の中だけで完結していると思っていた私たちの関係が、外へ出ようとしていることを知ったら、焦るでしょう?
ひとコマぶん講義予定のない講義室。


直くんにすきだって告白をしたら、柔らかくてやさしすぎる声色でやんわりと断られてしまった。



べつに恋人じゃなくて良かったから。都合のいい関係で、と手を取って、甘えた声で擦り寄ってみたけれど、私のあざとい誘惑に顔色ひとつ変えなくて。はっきり遮断するようにひんやりと断られた。


「浅井さん、俺のこと本気で好きじゃないよね」って。……お見通し、だったみたい。