……終わった関係にさえ、むかついた。
矢野さんが誰かのものにならなきゃ、私はいつまでも彼にとらわれたまま。
すきですきでどうしようもなく欲しいのに、たったひとりの本命が現れることも願っている。だけど、栞ばっかりずるい、って意地のわるいきもちもきちんと共存したままだった。
ぐちゃぐちゃで対極ばかり。抱え込みきれない、処理しきれない感情が空っぽの中で渦巻き続けた。
私はもう、ライバルにすらなれない。
矢野さんが誰と付き合おうが誰と過ごそうが、私が関係することもできない。
矢野さんと栞が切れてうれしい、よりも、栞が拒む選択をとれたこと、栞が自分の意思を強く持っていたことにむかついた。
私は、自分ができなかったことをやり遂げられるひとが羨ましくて憧れで、どろどろになった嫉妬を向けてしまう人間なのだと知った。
求めてくれて、会える関係なら、それでいいのに、と思った。私はそれすら許されなかったのに、なんでそんなに贅沢なんだって、自分でもおかしいってわかる羨望と嫉妬を抱えた。



