低温を綴じて、なおさないで




「綺麗だよ」




はじめは違和感しかなかったのに、すぐにそれが昔から知っているかのような不思議な感覚に変わって、“浅井茉耶”が自分じゃなくなるみたいに快楽に暴かれていったんだ。




ずっと頭と視界が真っ白で、たくさん触れられて、身体の奥がずっと甘く震えて疼いて、矢野さんの甘さを求めていた。



甘ったるい言葉と甘美な声色に、溺れてしまっていた。もう、その最中には溺れて抜け出せない沼にハマってしまっていた。ばたばたともがいても、この深い沼に捕まったら抜け出せない。



私が矢野さんの沼にハマってしまったように、矢野さんも私の沼にハマっていてほしくて、つい何度も確認してしまう。




「わ、たしのこと、すき…?」


「うん、好きだよ。好きだから最後までするね」


「わ、たしも……っ」


「……俺はまあ、初めての子が好きってだけだけど」