低温を綴じて、なおさないで




密着しているせいで耳元で囁かれ、息がかかってくすぐったくなる。耳元で話をされるのだって、こうしてまるっと抱きしめられるのだって、はじめてでどうしたらいいかわからない。どう返すのが正解なの。



また、私の警報はけたたましく鳴っている。でも止めかたすら知らない。



知識は最低限あって、この雰囲気がよくないことくらい、どうなるかくらいはわかってる。この先進んでいったら、どうなるか、くらいは。




「あの、こういうのは、なんていうか」


「やだ?」


「え、えっと……」




はっきり答えられずにいれば、矢野さんが耳元に甘く、吹き入れた。




「ひとつ提案なんだけどね?こうやってくっついてたいけど……暑いから、一緒に脱がない?」


「え、いやそれはちょっと……ぁ、」