ただし、ひとつ条件。どちらか一方に恋人ができたら、合鍵は返すこと。
フリーの期間、幼なじみとはいえ他人の異性の家の合鍵を持ち合っているなんて、受け付けないひとも当然にいると思う。
だから、大学内ではあまり話さないようにして、お互いの恋愛を邪魔しないように努めている。
合鍵を持っている期間はお互いの家に入り浸ることもできてしまうけれど、そこは明確に線を引いた。
わたしたちは生まれた時から隣にいてずっと一緒に過ごしているけれど、“幼なじみ”という枠の外へ行かないように大切に閉じ込めているから。勝手に飛び出て行かないように。
あくまで万が一の、お母さんを安心させるための手段、という立ち位置で納得している。



