交錯した視線が揺れる。見失った視線が再び交わったのは、すぐ近く。
握っていたブランコのチェーン。がくん、と揺れて、チェーンを持った手ごと上から掴まれて、すこしうえ、見下ろされる。触れた大きな手が、相変わらずつめたい。
目の前、視界は直しか映らない。再び交錯した視線、いつものやさしさを含んだ双眸が、どこかくるしそうに見えて、目を逸らせない。
直のうすい唇が「栞」とわたしの名前を吐き出す。直に呼ばれるのがいちばんすき。まっすぐ見つめて、次の言葉を待っていれば、次にわたしの鼓膜を揺らした声は、180度異なるものだった。
────「栞……?」



