低温を綴じて、なおさないで



ひとりわけがわからず戸惑っていれば「それと」ともうひとつ続けて右隣から言葉が追加される。


風に乗って届けられた言葉はまたもわたしの思考回路の外をいくようなもの。




「……告白されて、断った」


「……………なんて言った?」




さっきよりもさらに、耳を疑った。

わたしの脳みそが、聞いた言葉たちをばらばらにして放つからなんにも結びつけてくれない。



デートに行っていない、そもそも約束すらしていない、それでいて、告白を断ったなんて。


茉耶が断られること、直が断ること、その両方が意味不明すぎる。