「えー……花火するなんてロマンチックな約束してたのに。……ちなみに、どうして?」
なんともいえない微妙な顔でわたしを覗き込む。茉耶はわたしと葉月くんのことを応援してくれていた、と思う。だからどんな表情でいたらいいのかわからないんだろう。
隠すことでもないし、もしかしたらわたしに気を遣って言わなかっただけで彼の本性を知ってるかもしれないし。あくまで葉月くんとのことだけを伝えた。
「そういう目的だった。はっきりしなかったわたしもわるいからお互い様。気にしてないから大丈夫」
「それは、つまり……」
「うん、つまるところそう」
茉耶の表情が「察した」と物語る。左右対称の可愛い顔が歪んだように見えたのがどういう感情からかはわからなかった。
外面の良さに引っかかってしまったわたしに感情移入してくれただろうか。感受性豊かで「私はF型なの!」と流行りの某心理テストで楽しそうにしていた茉耶ならありうる。



