わたしは二度もそれ以上を求めておいて、そのときだけだとしてもこわしたのに、今の状況に困惑しているなんて戸惑いが自分勝手すぎる。
許可はないのに、強引じゃなくて、初めてこんなふうにやさしく引き寄せられて。静かに、それでいて確かに、ゆっくりと鼓動がうるさくなっていく。
「ごめん。最後に触れたくなった。許してくれる?」
「……うん、だいじょうぶ、」
「ごめんね。……栞にひとつだけ、知っておいてほしい」
今度は太陽に監視されながら、幼なじみという関係値には荷が重い距離で触れ合う。顔だけ上げたら、いつも通り見上げなきゃ目の合わない瞳はわたしだけを映して、余計な欲はなくまっすぐにただ、伝えられてしまった。心臓が跳ねるように、華やかに高鳴った。
顔立ちに甘さを加える双眸が小さく揺れて、和やかな表情をわたしに届ける。
「俺は、何があっても栞の味方だから」



