低温を綴じて、なおさないで






𖤐·̩͙





『りょーかい!レジュメもらっとくね』




ぴこん、音符がついたようにわたしのベージュの長方形が音を立てる。今日はおやすみするね、と茉耶に連絡すれば、そんなメッセージとともにもこもこのくまさんが大きくまるを作ったスタンプが届いた。


使うスタンプすらかわいいな、とほっこりしてから「ありがとう」と絵文字もなく可愛げ皆無で返信をした。







直のマンションからわたしのマンションまでは近い距離だけれど、送ってくれるというからお言葉に甘えた。太陽がきらめいて日差しを散らす日中はとてもまぶしい。それこそ直をまっすぐに想う茉耶さながらにまばゆい。



友達のすきなひとと知っていながら直に甘えて頼って離さずにいるわたしは絶対にヒロインにはなれなくて、いつだって主人公でいつづけるおひさまがちょっぴりこわい。



太陽が雲に隠れていれば肌寒いし、夜や朝方はもう一枚羽織っていないとさむくてたまらない。


ひかりに照らされると肌寒さがなくなるから、空でいちばんの存在感を放つオレンジ色の主人公に責められている気までしてくる。