低温を綴じて、なおさないで




𓍯



直の使っているシャンプーと、直がいつも着ているスウェットを借りたら直の匂いに包まれて、きみの香りがわたしに染みついた気がした。




「直、ドライヤーってどこ?」


「いいよ、俺が乾かすよ」


「え、わるいよ。何から何まで」


「いいから。俺がしたいからいい。おいで」




タオルに水分を吸い込んでもらいながらリビングまで歩いていけば、ソファーに座る直が「こっち」と手招きをする。


おいで、なんて言われたら観念するしかなくて、招かれたわたしは直の足の間へちょこんと腰を下ろした。