「シャワーしてくるね、借ります」
「ん、メイク落とし置いてなくてごめん。クレンジングだけはあるから」
「十分。ありがと」
直の部屋にメイク落としなんて置いてあったらそれこそわたし、いまの感じじゃ済まないと思うから一生そんなもの置いてなくていい。置くとしたらわたし専用にして。
直の部屋に遊びには来ても、泊まったのは初めてだったしシャワーを借りるのも初めてだった。
洗面台に映った何も着ていない自分の身体。首筋と、腰のあたりと胸元に赤い跡が見えて、直が昨日をわすれさせないようにしてるんじゃないかって勘違いしそうになった。
直はやさしくてわたしを大事にしてくれているけど、わたしみたいな醜い独占欲を抱えているわけではないと思うから絶対勘違いなのだけど。自分で答え合わせをして、ずきんと胸が痛くなるのも、あまりに身勝手だ。
𓍯



