低温を綴じて、なおさないで




そしてそのスウェットの上に丁寧にちょこんと置かれた、わたしの下着。直が拾って置いてくれたと考えたらこの場からすぐ消えちゃいたいほど爆発したくなるので、思考は一旦捨てることにした。



左胸に星が控えめにあしらわれたネイビーは夜空のよう。直はぴったり着こなしているのに、やっぱりどうしてもわたしじゃぶかぶか。


昔は同じくらいの背丈だったのに、気付かぬうちにわたしは20センチくらい上の視線を追いかけるようになった。20センチぶん下まで降りてきてくれることが多いのは、言うまでもない。




「栞、立てる?大丈夫?つらくない?」




何かを焼いているような、いい匂い。キッチンでおそらく何か作っていた直が手を止めて、温かさでふくらんだような声を投げながらこちらに向かってくる。




「……だ、大丈夫」


「なら良かった。今日講義午後からだったよな。ゆっくり休んで」