低温を綴じて、なおさないで




𓂃༯




はやくさめてほしかったいやな夢を見ていたとき、ずっと頭をふわふわと撫でられていた気がしていたし、つめたい体温に包まれていたような気もしていた。




「…………なお?」




ぱちりと視界の中に温かな光を取り込んで、自然ときみの名前がわたしの中からひらひらと泳いでいった。人工的なLEDではなく、カーテンの隙間から差す太陽のぬくもりに、時間を確認すれば時計の短い針は9を示していた。



隣で体温を分け合っていたはずの直はもうそこにはいなかった。


腰と下腹部のだるさ、重さの共存はしかたのない状況で、うまく身体を起こせないのでまずは直の存在に安心したくて視線を彷徨わせた。




「なお、どこ、」


「……こっち、だけど。…………ごめん、栞。服、着てほしい」


「!」