頬を大きく包みこんで、愛おしそうにわたしを見つめるのは、幼なじみとしての情?
単なる幼なじみだ。家が隣同士で、ずっと近くにいてくれただけのひと。
この甘い夜が終わればこうして触れ合うことはなくなる。わたしが求めなければ、直はわたしを求めないでいてくれる。幼なじみを保とうとしてくれる。
それでも今は、ずるくて弱いわたしのぜんぶを受け止めてくれる直にどうか、縋っていたい。
──夜が、長かった。外がうっすら明るくなるまで甘い体温を交換して、溶かしあった。
カーテンの隙間から覗く無数の星たちはわたしを嘲笑っていただろうか。
綴じた低温、たった一度。
更新してしまった、たった二度。
あの日よりやさしさが増して、甘美で醜い欲が毒のように体内を駆け巡った。
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