低温を綴じて、なおさないで




直が、わたしを何度も限界に連れてゆく。もうどこにもいけないのに、手を取って、真っ白なままぱちぱちと弾ける。ぼーっとする頭のなかには直しかいない。


たった一度だったのに、直はしっかりわたしを覚えていて、わたしもまた直の感覚を覚えていて、すこしの刺激でぐずってしまう。



一度目と同じように、直からの快楽をまた、逃せなくて。シーツをぎゅっと握りしめても、身を捩っても、足を閉じようとしても、直が掴んで離してくれなかったのはいじわるなやさしさだった。



大きな波に飲み込まれて身体を震わせるたび、キスを落として、自分のほうへ引き寄せて自分に体重をかけさせるように抱きしめる。ふたつ合わさって重なった心臓の音が、ひとつになったかのように混ざって、溶けてゆく。



……こんなになるの、なおしか、いないの。




「栞」


「な……に、」


「俺にだけこうやって甘えてて」


「う、ん、ずっと、だよ……直だけ」


「ん」