低温を綴じて、なおさないで



𓍯



慣れたようにわたしのシャツのボタンが外されていく。組み敷かれたベッドはあのときのシングルベッドではなくセミダブル。ひとが増えても窮屈じゃないのがわたしの胸に痛みを運ぶ。先客はきっといた。



わたしの視界を占領するきみの端正で中性的な顔立ちは昔から変わらなくて、数多の女の子から好意を向けられ続ける要因のひとつ。



昔から変わらず見ているこの顔に、こうして垂直に見下ろされるのはやっぱり慣れなくて。だけど、逸らせない、逸らしたくない。




「……電気、消そっか」


「やだ、直の顔、見にくくなる……」


「……栞がいいならいいんだけど」