𖤐ˎˊ˗




夏がさよならを言い残した少しの汗と、秋の気配を感じる大きな月のあかりに心地良く吹く風。夜風を全身で受け止めながら21時、“いつもの場所”まで足を動かす。



薄手の白いカーディガン、ショートパンツにサンダルをひっかけて徒歩3分。こじんまりとした公園には、ブランコとすべり台以外に遊具はない。



街灯もそこそこ、ベンチにすら誰も座っていない公園の、ブランコだけに人の気配がある。


人、だなんて、そのひととわたし以外がいることなんて滅多にないのだけれど。



ブランコに軽く腰掛けて前後ろにゆらめかせる人影に向かって声をかけつつ、隣のそれに同じようにリズムを刻ませる。