「……栞、なんで、」 「おねがい、わたしのこと、こわして」 「どういう意味」 「……こういう意味、」 見開かれた大きな目をよそにもう一度唇を合わせて、きみに賭けた。きみの首元、真面目に結ばれた青いチェックのネクタイをほどくように手にとった。 キスをしたまま、ゆらぐ瞳がわたしをとらえつづけて視線が熱っぽく交錯する。遠慮がちに腰に手が回って引き寄せられた。後頭部が押さえられて、キスの主導権が直に移った。