直の服を、ぎゅっと掴む。皺にしてごめんね。


わたしが見上げるようにもう一度目を合わせたのに反して、覗き込むようにわたしを見ていたきみが、ちょっとだけ、長いまつ毛を伏せた気がした。




「栞も、同じなの? 勘違い、してていいならするけど、」


「……うん、勘違い、してて。わたし、はづきくんとは、いやだった」


「……うん」


「すきなひとじゃないといやなこと、直ならいいの」


「………うん、それはさ、栞、」


「直、だから、だからね、わたし────」


「わかったから。もう、だまって」