心から心配そうにわたしを覗き込んで頭を撫でるようにわたしの髪を梳かす直。


愛おしいその瞳に、止まっていたはずの涙がまた溢れてきて、ソファーを降りて床にぺちゃんと座り込んでから直の背中に腕を回した。拒否されないのを確信して、手を伸ばした。



想像通り同じように背中に腕を回してくれて、泣きじゃくるわたしの背中をさすって落ち着かせようとしてくれる。



なおさら、止まらなくなってしまう。温かい行動と声色に反して、いつまで経っても直の体温は低くてつめたい。わたしの体温、移っていって。




「栞、どうしたの。話せる?」


「……はづきくん、ね……わたしのこと、全然すきじゃなくて、わたしも、ぜんぜん、すきじゃなかった」


「うん」


「…………キス、された。その後もしたい、って……わたしのこと、そういうふうにしか、見てなくて、」


「……それで深夜に、俺のところきたの?……俺、勘違いしそうだけど」