恋愛なんかじゃ、なかったね。
初対面から居心地が良くて、楽しくて、時間が終わってほしくなくて。それが、おかしかったんだ。
わたしのすきなもの、全然覚えていないし、アイス買おうって言ってくれない、缶も開けてくれない。2時間半も遅刻するし。わざわざ聞かなかったけど、あれ絶対、女の子といたでしょう?
忙しくてスケジュール管理完璧なのもいろんな女の子と遊ぶためだよね。
ぜんぶぜんぶ、小さな違和は転がってゆらめいて漂い続けていた。
だけど、メッセージはマメだし、会う時間も作ってくれるし、やさしいし、ときには可愛いを落としてくれるし、話も弾むし、信じたくなかった。
信じたかったのは、わたしのことをすきでいてくれるんじゃないかっていう淡い願い。
公園を後にして、暗闇をとぼとぼ歩けば、勝手にぽろぽろ涙が伝っていく。



