願うなら、きみが






一体八田くんにどんな顔を向けているのだろう。きっと変な顔をしてしまっていると思う。だって、口開いちゃってるし。

えーっと……告白、されたんだよね? これはどうするべきだろう。急すぎて軽くパニックである。


だけどまずはありがとうだよね、うん。それで、それから──



「ふっ」

「え」

「ねぇ、なにその顔」

「え……」

「面白すぎんだけど」



でも私が言葉を発する前に、真剣そうな顔が急に笑い出したから。余計に訳がわからなくなってまた混乱した。

間抜けな顔をしている自分が原因なのだけれど。それにしてもたった今告白をしてくれたようには思えない程、八田くんは笑っている。



「えっ、なに、」

「はー、おもしろ。で、どう思った?」

「どうって……え?」



困惑している私に質問まで投げかけてくるなんて。一体どういうことなのだろう。でもなんとなくわかってしまったけれど、その口調的にきっと今の告白は本気ではない……と思う、たぶん。

仮にそうだとして、じゃあ次の問題は、八田くんがどうしてそんなことをしたのかだ。



「先輩に言われた時と同じ気持ちになったの?」

「え?」

「え? じゃないよ。考えて」



問題を解く前に、言われた通り考えてみる。あの日、体育祭の日、先輩に好きと言われた時のことを頭の中に思い浮かべた。

するとほんの少し、頬が熱くなった気がして。慌てて意識を八田くんへ向け直す。



「……びっくりしたのは同じだけど、ドキドキは……しなかった」

「ほら、じゃあ同じじゃないじゃん。少なくとも俺よりは先輩が特別ってわけでしょ? つまり誰に言われても同じじゃないってことだよ」

「たしかに……」



なるほど、答えはこうだ。どうやら八田くんは、私の悩みを全力で解決しようとしてくれたらしい。