「……よく考えないで決めて、先輩のこと傷つけたくない」
それは、おかしなことなのだろうか。まだ高校生なんだし、気の向くままに直感で選んだ方が楽しいじゃんって、みんなはそう思うのかな。
「ま、八代さんはそんな感じだよね」
「そんな感じって、」
「でもさ、確実にひとつわかってるじゃん」
「え?」
「そんなに考えようとしてるってことは、その先輩のことがものすごーく大切ってことなんじゃないの?」
言葉に起こされても、違和感は無くて。それはつまり、言われたことは間違っていないということで。
そう、私は、先輩のことが大切なんだ。だから、傷つけたくないって思うんだ。
「ものすごーく……うん、そうだね」
「それが恋愛感情なのかは知らないけど。そもそも、どうなったら答えが出るわけ?」
「どうなったら、とは……」
「好きにならないと付き合わないってこと? それとも、好きになれるかもって思ったらOKするの?」
その言葉たちにハッとする。ちゃんと考えるとは言ったものの、実は答えをどう導けばいいのかまだわからずにいたから。
「……今は漠然とどうしようって考えてて……それはこれからその……考える……」
「大丈夫なの、そんなんで」
難しい、イエスかノーの基準。
今日までの期間何も考えていなかったわけではないけれど、少しも答えには近づいていないと思う。
私はどうするのだろう。先輩のことを好きになるのを待つの? いつになるかもわからないのに?
だけど誰かを好きになるのに時間は必要ないってことは、もうわかりきっている。一瞬で恋に落ちることもあるってことも。
そもそも私は、先輩のことを好きになれればいいとか、好きになりたいだとか、無意識にそっちの選択をしようとしているのだろうか。
それは結局、先輩を傷つけたくないからなのかな。


