願うなら、きみが






本当に、今まで何をしていたのだろう。

こころのどこかで油断していたのだ。ひおの恋は上手くいかないって、そう決めつけていたのだ。だからまだ時間はあるって、思い込んでいたのだ。

もちろんそんなことを思うなんて失礼で、最低で。わかっている。だけど、そう思いたかった。ずっと、応援しているフリだった。


やっぱり、全然やさしくないよ。だって俺のこころの中は、ひおにとってこれっぽっちもプラスにならないことばかり。



だったら、これからの俺にできることって、たぶん。

きっと、ゆっくりとこの気持ちに蓋をして、今度こそ本当にひおをこころの底から応援してあげることくらいだ。



「先輩、どう思います?」

「……」

「先輩?」

「……」

「せーんぱい? 聞いてます?」



ひおに顔を覗き込まれて、思考をやめる。

それから無理やり口角をぐっと上げて、いつも通りを演じた。



「ごめんごめん。聞いてる」

「じゃあどうしたらいいと思いますか?」

「しなくてもいいんじゃない? お返しいらないって言われたんでしょ?」



しなくていいよ。これ以上、好感度上げなくたっていいじゃん。


……なんて。もう、身を引かなければならないことはわかっている。いや、身を引くってなんだよ偉そうに。

だってそう言えるくらいのことなんて、何ひとつしていないだろ。



「えー、ほんとですか?」

「……いや、やっぱりしてあげた方がいいかも。その方がもっと気持ち伝わるだろうし」

「ですよね……! でもどうしよう、何あげよう」

「全然まだ先だけど、バレンタインとか?」

「はっ……!」

「ま、そしたらきっとホワイトデーでまたお返しされるだろうけど」

「……たしかに」



ひおとの関係は何も変わらない。変わるのは、俺の気持ちだけ。


ひおの幸せを、ただそれだけを願えるように。