その胸の内側で何を思っているのか、ずっと知りたかった。どんなふうにひとのことを好きになって、どんなふうに想うのかを。
小さく息を吐いて、小さく吸う。どうにか涙がこぼれないようにと、瞬きを我慢した。
「よかった、です」
「たまに敬語になるよね、八代」
「……なんとなく、です」
「なんだそれ。でも、とにかく感謝してる」
私はね、星谷くん。
目を合わせて会話をするだけで嬉しくなるし、今みたいに気持ちを伝えてくれるだけで、泣けてきてしまう。
ずっと見ていたよ。ずっと想っていたよ。
先生のことばかりをその瞳に映している星谷くんのことを。
星谷くんのことを考えると胸がぎゅうっとなって、今だって触れていないのに体がぽかぽか温かくて。
そんなふうに、私は星谷くんのことが好きだよ。
「……星谷くん」
「うん?」
「視野は……広がってる?」
「うん、広がってるよ」
やさしく私のことを見下ろすから。そんなことを言われたら、よくないことだとわかっていても期待してしまう。
だけど、ほんの少しくらいは、星谷くんの内側へ入れたと思ってもいいのだろうか。こころの端っこに置いてもらえているって、自惚れてもいいかな。
本当は今、好きだって言いたい。また、気持ちを伝えたい。もしも今伝えたら、結果はどうなるのだろう、と。
そんなことを頭に浮かべては、ぱちんぱちんと消していく。だって、きっとまだだめだから。
星谷くんの中にある気持ちがゆっくりゆっくり育って、別の方へ向いている矢印がいつか私の方へ向きますようにって。
今はそれをただ願うだけでも楽しい。そう、星谷くんと同じように、私も毎日が楽しいよ。
「嬉しいな、ものすごく」
「……なんか恥ずかしくなってきた」
「あ、目逸らした」
「、しばらく見ないで」
今日待ち合わせをした時の予感は、やっぱり当たっていた。
メリークリスマス。今まででいちばん、素敵な12月25日になったから。


