願うなら、きみが






「本屋さん、絶対似合うね」

「本が好きってだけなら、八代もでしょ?」

「えー、好きだけど、似合うかな」

「似合うよ。八代は今のバイトどうなの」



星谷くんが私の目の中を覗くように首を傾げたので、ドキリとした。

それに、嬉しかった。そうやって聞いてくれるってことは、私のことを知ろうとしてくれているんだなって。



「私? 楽しいよ。みんないいひとだし」

「カフェだっけ?」

「そうそう。あ、同じ学校の先輩がいるんだよね。すごくない?」

「へぇ、すごい。どんなひと?」



嬉しくなってつい、由真先輩のことまで話してしまった。口にしてすぐ反応に困ってしまうかもと思ったけれど、星谷くんがそう聞いてくれたのでその心配は消えていった。

どんなひと、か。先輩のことを思い浮かべれば、いいところばかりが出てくる。



「うーん、とにかくやさしい!」

「やさしいんだ。それはよかった」

「あとはいつも助けてくれるし、話聞いてくれるし、お菓子くれるし、先輩がいなかったら私はどうなっていたことか……と思うことがたくさんで」

「ふ、めっちゃ好きじゃん」

「え?」

「そのひとのこと」

「うん、そうだね。すごくいい先輩なんだ」

「そんな感じする」



先輩のことをそう言ってくれるのはなんだかすごく嬉しいし、こうしていられるのもやっぱり半分は先輩のおかげなんだろうなぁと、勝手にこころの中で感謝をしたところで、注文した料理が運ばれてきた。

卵がとろとろのオムライス。星谷くんがおすすめしてくれたので、同じものを頼んだ。「いただきます」とふたりで手を合わせて食べ始める。



「美味しいね」と言い合いながら好きなひとと食べるオムライスは、今まで食べた中でいちばん美味しくて幸せな味がした。