願うなら、きみが


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「お、お待たせしました」

「待ってないよ」



あっという間に二学期の終業式が終わって次の次の日。12月25日、クリスマス当日。星谷くんの家の最寄り駅で待ち合わせをした。


それを希望したのは私で、星谷くんには、『イルミネーションとかないけどいいの?』と聞かれた。たしかに一緒にイルミネーションを見たい気持ちはすごくあるのだけれど、人混みの中にいるよりも、今はふたりの空間を噛み締めたかった。

あと、星谷くんの住んでいる街を覗いてみたかった、というのもある。




昨日の夜はドキドキしてなかなか寝つけなかったし、着ていく服も直前まで悩んだ。メイクも昨日ずっと動画を観て練習して、髪の毛は丁寧に丁寧に巻いたおかげで時間がかかって。

結果、待ち合わせ時間ギリギリに到着して、星谷くんをお待たせしてしまった。



「……」

「? なに、八代」



ついまじまじと見てしまう、初めて見る星谷くんの私服。

ロングのダッフルコートにチェックのパンツ。全体的にブラウンのカラーでまとまっている。勝手に昨日妄想させていただいた段階では、私服は黒かな〜と思っていたのだけれど、いい意味で想像とは違った。とてもいい。想像の中の星谷くんより何倍も。



「あ、いや……制服じゃないから、つい」

「何それ、恥ずかしいんだけど」

「ごめん……?」

「八代もいつもと違うよ」

「そりゃ、一応ちゃんとしてきたので……」

「大人っぽくていいね」

「あ……あ、りがとう」



あーちゃんに相談をして選んだショート丈のアウターとマーメイドスカートは、いつもと違う雰囲気を出したくて黒にしてみたのだけれど、どうやら大正解だったようだ。


大人っぽいだって、どうしよう、嬉しい。あーちゃんありがとう! という気持ちを胸に、「じゃあ行こうか」と歩き始めた星谷くんの隣へ。


きっと、素敵なクリスマスになる気がする。