──「疲れすぎたんですけど!!!」
「ね、混んだね」
由真先輩と同じ時間にあがって、ふたりで夜道を歩く。「俺より働いてて偉い〜」と先輩が隣で笑ったので、「ですよね〜」と返した。
今日もいつも通り、どっぷりと疲れている。
土日はいつもお昼前から夜までずっと混んでいて、土曜日である今日も例外なくそういう日だった。
でも混むのも納得だ。だって料理がどれも美味しいから。メニューはすべて店長と店長の奥さんが考案したもので、まかないで何度か食べているけれど本当にどれも絶品である。
それともうひとつ、密かに思っているのは、店員の顔面偏差値の高さも混雑に関係しているのではないかということ。もちろん、私を除いて。
店長もイケおじって感じだし、奥さんも美人。それから少人数のバイトの中でどうして私が採用されたのかと思うほど、他のひとたちのお顔も整ってしかいない。
そしてその中でも、由真先輩が断トツで美形に見える。仲良しフィルター? いや、そんなことはない。
だってたまに、同年代の女の子のお客さんに話しかけられているところを見るもの。何を話していたのか聞いても、『なんでもないよ、ほら仕事仕事』とはぐらかされてしまうのだけれど。
「なに笑ってんの」
「え、笑ってました?」
「にやにやしてた」
「えっ、してないです」
先輩の方を向くと、ちょうどその向こうを車が通った。それを見て先輩がいつの間にか車道側を歩いていてくれたことに気がついて、「あ」とつい声に出てしまう。
「ん?」
「先輩って、やっぱりモテるでしょ」
「急になんでよ」
「だってまた知らない間に車道側歩いてる」
「あぁ、ひおが轢かれたら困るからね」
先輩は、いつもそうだ。そういうことがナチュラルにできるひとだ。


