浅黄色の恋物語

 そんな中、ぼくには忘れられない3月27日が来る。
この日は父方のおばあちゃんの命日。
1979年だから、、、46年前になるね。
 岡山県の実家から電話が掛かってきたんだ。 それで親子3人慌てて岡山へ飛んで行った。
物心付いてからのおばあちゃんとの記憶は無いんだ。
 でもね、叔父さんの話では「遊びに来るたびにばあちゃんはあんたを可愛がってたんだよ。」っていう。
実家に着いてみるとおばあちゃんは布団に寝かされていた。
 「信一、ばあちゃんの顔を拭いてやってくれ。」
叔父さんがぼくに綿花を渡した。 それでおでこを拭いていたら、、、。
 「あれあれあれ?」 叔父さんがぼくの声に気付いた。
 「まあまあ、ばあちゃん 信一が心配やったんね? 帰ってきたんやき安心しいね。」
ばあちゃんはよほどにぼくが心配だったらしい。 パチッと眼を開けていたんだ。
 小さい頃、遊びに来るたびに可愛がっていた孫が来たんだ。 そりゃあ心配だったよね。
 叔父さんが眼を閉じさせると二度と開くことは無かった。
そして葬式を経て荼毘に付されたんだ。
 遊んでもらった記憶は無いんだけど何だか忘れちゃいけないような気がしている。
 その後で母さんたちは離婚したんだもんね。 ばあちゃんはさらに心配してたんじゃないかな?
 それでももうすぐ50回忌だよ。 きちんとしなきゃね。
父さんも居なくなったから実家に行くことは無くなったけど、、、。
 あの日、葬式も初めてだったなあ。