浅黄色の恋物語

 「先生 チョコレートあげるね。」 職員が近付いてきました。
いつも部屋の中でやってるから職員と話すことって無いんだよなあ。 いきなり来られるとびっくりする。
 「先生ってさあ、今もカレーを作ってるの?」 不意に聞いてくる。
それを聞いていたおばあちゃんたちは「すごいねえ。」って感嘆の嵐。
 確かにね、見えないと料理なんか出来ないだろうって思ってる人が多いから無理も無い。
「それにさあ、先生って和歌も作るんだねえ。」 さらなる話におばあちゃんたちは余計にびっくり。
 「ほら、これ見てよ。」ってぼくが久子姉さんにあげた本を見せると、、、。
「すごいねえ。 私もこれ欲しい。」って人が出てきた。 意外なことからフィーバーが起きるかも?

 ぼくは和歌も作るし詩も書く。
小説やエッセーも書いてるし、料理もする。
 ギターも弾いてたしダンボールアートもやる。
でもそうやって楽しんでるのはぼくだけじゃないと思うよ。 いろんな人が居るからね。
 さあ今日も仕事に全力投球だ!
いつものように軽自動車に揺られながら向かうんです。 喋ることはほとんど有りません。
考えることもいっぱい有るからね。
 87歳のあのおばあちゃんは今日も我儘で元気いっぱい。
部屋に入ると布団にドカッと寝っ転がります。 「先生 よろしく。」
よろしくなんて言われたくないんだけどなあ。
そう思いながら体を診させてもらいます。
このおばあちゃんは鍼がお気に入り。 「すっかり良くなるまでよろしく。」なんて言ってくる。