浅黄色の恋物語

 腹も満たされ、いい感じで酔っ払うと後は寝るだけ。 一人寝の夜が来ます。
ここにもしも久子姉さんが居たらどうなっているんだろう?
 もちろんね、好きとか嫌いとか聞いたことも言ったことも有りません。 仕事中なので。
それでも考えてしまうんだ。 寂しそうな姉さんを見ていると、、、。

 布団に横になって天井を仰いでみる。 聞こえるのは僅かな風の音だけ。
夏の暑い時期には窓を開け放してるからいろんな音が聞こえてくる。
 熱中症なんかで運ばれる人も多いから飛んでくる救急車のサイレンも毎晩のように効いている。
時々は団地の前で停まるから冷や冷やする。
 でも今は真冬。 少し暖かくなると雪の塊が屋上から落ちてくる。
そのたびにドカーンとすごい地響きがする。 慣れてしまったから(またか。)って思うけどね。
 あの真下に車を止めていたら大変だったろうなあ。

 そんな夜に久子姉さんの夢を見る。 叶うか叶わないか分からないけれど、、、。
「こんなおばあちゃんと寝たって面白くも何ともないでしょう?」 そう言うだろうな。
 ある意味でさばさばした人だからねえ。
 だから惚れてるのかもしれないけど、、、。
この仕事を始めて何人もおばあちゃんに会ったよ。 「生まれ変わったら結婚しようね。」って言ってきた人も居る。
 根っからのファンだっていう人も居た。 みんな思い出になった。
そんな中で久子姉さんは今を生きている。
 ぼくと出会って半年が過ぎたんだ。 どっか変わってきたよね。
よく喋るだけじゃない。 何かが変わってきた。
もちろんそれはぼく自身にも言えることだ。
 ただ単に久子姉さんを患者さんとして見ているだけじゃないことに気付き始めたのは最近だった。
楽しそうにしている久子姉さんが時々溜息を吐く。
 ぼくはそこに寂しさを感じていたんだ。 そして傍に居てあげたいとも。