浅黄色の恋物語

第6章 翼

　2005年11月、ぼくは福岡を捨てることを本気で決意した。　悔いは無かった。
福岡を、、、、というよりは妹をと言った方がいいかもしれない。
　子供の頃から仲良しで両親が居なくなったぼくにとっては心配の種になっている妹ですが、、、。
それでもくっ付いた男があまりにもひど過ぎた。
　話が上手すぎてペテン師な上に女でも容赦なく死ぬほどの暴力を振るう畜生である。
さらには若い女を捕まえると嘘で参らせてからやりたいだけやって投げ捨てる卑怯者。
　そんな男が傍に居てはぼくの周囲も危なくなってしまう。
それだったら妹もろとも関わらないに限る。　苦しい決断ではあったけど。

　それで真冬の岩手県に引っ越した。
その前日、叔母と祖母がぼくの部屋に来た。　何事かと思ったら、、、。
　「お前の名義で貯めた簡易保険が満期になったから印鑑を貸せ。」って怒鳴ってきた。　こいつらもしょうもない金虫だった。
ぼくらの名義でいったいどれくらいの金を貯め込んだのか？
まあね、叔母はその金で家を買ったらしいからウハウハだったろうなあ。
ぼくも妹も母さんも名義を使われてたんだよなあ。
こんな親族ともきっぱり別れられる。　そう思ったね。
他人を利用するだけ利用するなんて親族とは言えないよ。

　それから18年が過ぎて今は北海道に居る。　今も放浪している気がする。
何処かで腰を落ち着けてゆっくりしたいもんだね。
そうは思うけどぼくはやっぱり渡り鳥。　落ち着きそうになったところで旅に出る。
止まり木が有れば休めるんだけどなあ。