「戻って来られていたのに、気づかずに失礼しました。今、ご飯の準備を…」
「いや、違うんだ。これを」
差し出されたのは、私が作った竹籠。
深みのある縦長のそれを出されて覗き込むと、そこにはシロツメクサがたくさん入っている。
「シロツメクサ…?」
「これは、そういうものなのか。柚葉にぴったりだと思って、摘ませてもらった。野菜じゃなくて、申し訳ない」
「いえ!…嬉しいです。旦那様からお花をいただけるなんて。ありがとうございます」
「うん。じゃあもう少し外に居る」
「はい。お気をつけて…」
私がかけた声を無視する勢いで、また外に出ていった旦那様。
耳がほんのりと赤いように感じたのは、私の勘違いでしょうか。



