うみに溺れる。



スマホのカメラロールにある今まで撮った写真と動画は3人のやつがほとんどだけど、雫玖と2人で撮った写真も負けずに残っている。

動画を再生すると、画面の中の彼が私の名前を呼んだ。


《「海」ー!》


雫玖とは別の声がして後ろを振り返ると、そこには空人が立っていた。


「ったく、ここに居ると思ったわ」

「は、なんで、学校は?」

「俺も早退した。アカデミー賞取れるくらいの一芝居うって」

「馬鹿なの?」

「ま、先生達は海だけじゃなくて、俺にも甘いって事だな」


俺ら今悲しみに暮れてる仲間だから。

やっぱり馬鹿だ。
どうせ先に帰った私が心配だからとか言いくるめて抜け出して来たんだろう。


「何見てたんだよ」


腰を下ろして私の隣にドカッと座った空人は私のスマホを覗き込みながら聞いてきた。


「動画見てた」

「動画?何の?」

「3人でカブトムシ探しに行った時の」

「うっわ、懐かしすぎだろ!」