The previous night of the world revolution

誉れある帝国騎士官学校に編入して、まず最初に思ったことがある。

そこで学ぶ学生達を見て、思ったことは一つ。

…何なんだ、この馬鹿共は。

アリューシャの言ったこともあながち間違いではなかった。ここにいる連中は、皆頭の中お花畑の馬鹿共だ。

彼らは、自分が帝国の未来を担う逸材になると信じて疑っていなかった。そんな自信が何処から来るのか知らないが、いつでも自信に満ち溢れ、出来ないことなど何もない、みたいな顔をしていた。

恐らく、貴族として生まれ、周りからちやほやされて育ってきたせいだろう。

自意識過剰にも程がある。

おまけに、露骨なまでの家柄自慢だ。何処の名家出身なのかは知らないが、自分はかの何々家の名を背負っているのだと自信たっぷりに語っていた。

俺が弱小貴族の名前で編入してきたから、余計に家柄自慢しやすいのだろう。

実際俺は弱小貴族どころか、名も知れぬ一般庶民の生まれなのだけど。

さすがに帝国騎士官学校の学生だけあって、確かに実力はそれなりにある。それは認めざるを得ない。

だが、中身がこんな自尊心の塊なら、俺にとっては全く脅威にはならなかった。

どんなに実力があっても、頭の中がすかすかなら怖くも何ともない。

俺は編入初日から、クラスメイトのことを心底馬鹿にしていた。

多分クラスメイトの方も、俺のことを田舎者め、と内心馬鹿にしていたのだろうから、お互い様だ。

とはいえ…俺はその侮蔑を、態度には出さなかった。

むしろ、最初の頃は…どのクラスメイトとも、友好的に接するよう努めた。

スパイとしては、クラスメイトと仲違いしては何の意味もなくなる。出来るだけ八方美人して、必要な情報を引き出さなければ。

確かにこいつらはかなり残念な馬鹿だが、これでも貴族の生まれなのだから、仲良くなっておいて悪いことはない。

そう思って、俺は彼らに対し、友好的に接した。クラスメイトは皆馬鹿だから、ころっとそれに騙された。

まぁ、なんともやりやすい連中だ。

これなら潜入任務も楽勝だな…なんて。

考えていた矢先だった。