The previous night of the world revolution

「…あ…?」

聞き覚えのない声だった。

誰かと思って声を主を見ると、そこには俺より少し年上くらいの、少年がいた。

…殺しちゃったの、って。このおっさんのことか?

「何だよ。お前の仲間か?」

「違うよ」

そうだろうよ。

目の前の少年は、この小汚ないおっさんとは比べ物にならないくらい品の良い身なりをしていた。貧民街では異質なくらいに。

こいつらが仲間だとは、とても思えない。

「そんな格好でうろついてると、身ぐるみ剥がされるぞ」

ここいらには、俺が売春を仕事としているように、スリや追い剥ぎで生計を立てている者も大勢いる。

そんな奴らにしてみれば、格好の的だろう。

しかし。

「心配要らないよ。そんな奴は皆殺すから」

皆、殺す…?

…身なりは良いが、随分物騒な奴だ。

「何の用だ」

「そいつを探してたんだよ。生け捕りにしたかったんだけどね」

そいつ、とは俺の足元で転がっている死体のことだ。

「…それは悪いことをしたな」

そんなことも知らず、あっさり殺してしまった。

「別に良いよ。生け捕りにした後、どうせ殺す予定だったし」

「…お前、一体何だ?」

「…」

彼は質問には答えず、代わりに別の質問を返してきた。

「君、何でこいつ殺したの?殺したところで良いものは何も持ってないだろうに」

「やられそうになったんだよ。見たら分かるだろ」

「…あー…」

情事の途中のように、無造作にはだけた衣服を指差す。彼はそれで理解したらしかった。

「君、被害者だったんだね」

「理由もなしに殺さねぇよ」

俺は今まで何人も人を殺してきたが、自分の身を守る為以外に殺したことは一度もないのだ。

「成程…」

顎に手を当てて、彼はじっと俺の目を見た。

…何だ、一体。

「それは災難なことをしたね。こちらの案件で迷惑をかけてしまった。良ければ一緒に来ないかい?」

「…はぁ…?」

「私が責任を持って、お詫びをしよう」

「…」

…胡散臭いこと、この上なかった。